目次
商品選択に関するご質問
●ドリルチャックと、キーレスチャックの違いについて
●JT1でおすすめのものはどれか(通常のハンドル式ドリルチャックに関して)
●細いものを大きなチャックで把握したい(通常のハンドル式ドリルチャックに関して)
●小径ドリルの振れが少ない状態で使用したい
商品ご使用方法に関するご質問
●ハンドルの締め付け順序について
●精度良く作業したい場合の留意事項について
●地球印のハンドルは、他社のドリルチャックにも使用可能か
商品メンテナンスに関するご質問
●通常のハンドル式ドリルチャックの洗浄について
●内部への注油に関して(通常のハンドル式ドリルチャックに関して)
●チャックの外し方について
●故障してしまったので修理調整して欲しい。
●ドリルチャックのハンドルや、ナット付ドリルチャックアーバーのナットを紛失してしまったので単品で販売して欲しい。
商品仕様に関するご質問
●商品の図面をDXFファイルで送付して欲しい
●ドリルチャックのMGとはどういう意味か(通常のハンドル式ドリルチャックに関して)
●アーバのサイズはどのように呼ぶのが正しいか
●JT6とJT2½の違いは
●JT2SとJT2について
Q ドリルチャックと、キーレスチャックの違いについて
A それぞれ以下のような点がございます。
・ドリルチャックの長所
何と言っても長い伝統とJIS規格を上回る精度、信頼を誇る地球印チャックの基本形である
ハンドルにより充分締めることができる安心感があり、逆転や主軸急停止にも強い
JT側にかけて穴が貫通しているので、ナット無しアーバーでもチャック内部からアーバー先端を叩くことにより、アーバーを外すこと出来る
キーレスドリルチャックに比べて全長が短くコンパクト
豊富なサイズが用意されていること
価格がキーレスに比べて安いこと
インデックスなどに取り付けて使用する場合でもハンドルにより十分な締め付け力が得られる。また、締め付け力によって爪が出入りしてもワークは一切回転しない
・ドリルチャックの短所
手締めでは把握力が足りずハンドルで締めなければならないこと
締めすぎた場合、ハンドルでゆるめるのがたいへんなことがある
構造上ローレットが刻まれている外径部品(部品名「カバー」)が本体と若干ガタがあるため、偏心・傾きがあり、そのために高回転下では振動が発生する恐れがある
・キーレスチャックの長所
手締めのみで把握でき、また、手でゆるめることができ、とても能率が良い
全体に渡りバランスの取れた構造で、カバーも本体との間で偏心等していないため、高回転に有利
・キーレスチャックの短所
逆転や、主軸の急停止に弱いこと(フックスパナ溝つき品を除く)
重切削などで締まりすぎた場合、手でゆるめるのがたいへんなことがある
重切削などで急な力が掛かりスリップした場合、ドリルシャンク(柄)に深い傷がつきやすい
(スリップ防止機構つきKL13Vを除く)
セルフタイト機構を働かせるため爪リードが尖り気味になっていて、軟らかい丸棒を把握すると爪傷がつきやすい
ナット付アーバーでなければ、アーバーをチャック本体から外すことは困難
高価であり、種類が豊富でないこと
インデックスなどに取り付けるなど、定置して使用する場合、ツールの切削抵抗などが掛からないので、構造上の理想的なセルフタイト締め付け力が得られない
定置して精密に位置決めしたい場合等、爪出入りや締め付け力により円周方向に回転しまい、位置が定まらない
Q JT1でおすすめのものはどれか(通常のハンドル式ドリルチャックに関して)
A 形状などの制限がなければ、6.5MGをまずおすすめします。他のサイズも、大きさの点で問題がなければ、ELよりも、MG(マシングレード)のものを選択する方が無難です。
Q 細いものを大きなチャックで把握したい(通常のハンドル式ドリルチャックに関して)
A 通常のキャパシティを下回る細い径のものが把握できる、小径用のドリルチャックが一部サイズにございますのでご利用下さい。
なお、細い物が把握できるよう、爪リードが鋭くなっておりますので、摩耗等にはご配慮下さい。
Q 小径ドリルの振れが少ない状態で使用したい
A 大きなチャックでも小径のドリル等を把握することは可能ですが、振れ精度の点から申しますと、 小さいチャックを選択する方が有利です。
もっとも、機械主軸等の関係からJT番号が限定されてしまう場合は、 一定のサイズのものしか取り付けることが出来ないので、 ドリル径に比して大きなチャックでご使用頂くほか無いです。
Q ハンドルの締め付け順序について
A ドリルチャック本体には、3つのハンドルを差し込む締め付け穴がございます。基本的には、スクロールチャックなどとは違い、締め付け指定箇所というものはないのですが、以下の順序で締め付けて頂くことをおすすめします。
チャックのツメが下を向いて垂直に置いたと想定してください(ちょうどボール盤に装着した状態と同じ位置です)。チャック本体の地球マークを目の前にして、チャックを回転方向に回します。すると、地球マークの右となりのハンドル穴が前に来ますので、そこにハンドルを差し込んで、まず締め付けてください。その後、回転方向に回して、先ほどの穴の右となりの穴、という順序に締め付けて頂きます。これが、弊社で精度試験するときの純正の締め付け順序です。
締め付け順序によって、ごくわずかですが、振れ精度が異なることがございます。
旋盤の心押台に取り付けた場合などで、3つの穴に差し込んで締め付けるのが難しく、一カ所のみで締め付ける場合は、地球マークの右となりの穴で締め付けて頂くことをおすすめします。
なお、小さいチャックのように、地球マークが本体ハンドル穴部分に刻印されていないものは、基本的には締め付け順序は無い、ということになります。
Q 精度良く作業したい場合の留意事項について
A ドリルチャックにおける作業で、振れ精度などをできるだけ少ない状態で作業したい場合は、以下の点に配慮する必要があります。
まず、チャック単体の精度的には、AA級をご選択になるほうが無難です。
また、チャックに取り付けるアーバーは、できるだけテーパー当たりや振れが無いものを使用して下さい。一部のメーカーのアーバーには、かなりひどいものがありますので、地球印のアーバーを強くお奨めします。特にこのテーパ当たりの点は案外軽視されがちですが、非常に重要です。
アーバーではなく、スピンドル軸端のジャコブステーパに直に取り付ける場合は、その機械の製作精度に依存しますので、できるだけ一流メーカーの高精度なものを使用する方が無難です。
テーパの当たりが悪いと打ち込むたびに振れが変わってしまいます。また、非熱処理アーバーなどで起こりがちなのですが、一度使用したアーバーで段がついていたりしますと、精度は出ません。テーパーの当たりは極力良い物を使う必要があります。
作業時、ハンドルにて締め付けるときは、前項を参考に、締め付けて下さい。より厳密な作業には、把握したツールに都度ダイヤルゲージを当てて、振れを確認して作業を進めるのが理想です。熟練を要しますが、精度があまり出ていないチャックでも、締め加減により精度を出すようなことも可能だったりします。しかし、チャック自体の精度がでている方が、はるかに作業は行いやすいですし、安心できます。振れにはすりこぎ状の振れ・平行振れなどがありますが、すりこぎ状の振れがでていると締め加減ではいかんともしがたいです。
繰り返しますが、いかにチャックの精度が良くても、機械側や、アーバーなどの精度が低ければ、チャックの精度が発揮されないわけです。
Q 地球印のハンドルは、他社のドリルチャックにも使用可能か
A JIS規格では、ハンドル関係の形状・寸法も規格されていますので、JIS規格のものなら、原則として他社相互間でも使用できると言えそうですが、実際、合わないものもあることに注意が必要です。一言で言うと、国産の他メーカーでしたら、使用が可能なものもありますが、一概には言えません。
経験では、ある国産メーカーのものには使用ができないことがありました。
従って、まずは、そのチャックメーカーからご購入頂くのが良いです。もしメーカー連絡先などが不明でしたらご連絡頂ければ、アドヴァイスさせて頂きます。
地球印ハンドルを他社のチャックにお試しになる場合は、現物で使用が可能かをご確認頂くのが良いです。
他社のものにお使いになる場合は、特に、チャック本体のハンドル穴とハンドルのピンがしっくりとはまり、ギヤも大きなガタ、すき間や、かたさがないことが必要です。ハンドルのピン径はハンドル一覧表をご参照下さい(チャック本体の穴径を参考にハンドルのみご購入の場合参考になります)。
不適切ですと、ハンドルのギヤが破損したり、締め付け時ハンドルが滑って外れてけがをすることがあります。
もっとも、古いものですと、ハンドルを調達するよりも、チャック本体を交換した方が無難なことが多いということは付記しておきます。
地球印ハンドルを他社のチャックへ使用する場合は、ユーザー様の責にてご使用下さい。ケガをしたり、他社チャックを痛めた場合は、一切の責任を負いません。
※特に古い地球印製品では、現在とは違うハンドルであることがあります。たとえば、以前のNo.3チャック(JT3、把握径13.5mm)は、K-13が適合します。
Q 通常のハンドル式ドリルチャックの洗浄について
A 内部切削屑などが入ったりして汚れた場合は、綿棒のようなもので念入りに除去して下さい。
ツメの方から内部に向けてのエアブローなどは、故障の原因になります。但し、JT側からのエアブローは、注意して頂けば、行っても構いません。ただ、その場合は、アーバーなどをチャックから外す必要があります。
洗い油や、ブレーキクリーナーなどにより洗浄することも可能ではありますが、内部のグリスが除去されてしまったり劣化する恐れがあります。その場合も、ツメの方からの吹きつけなどは好ましくありません。
加工内容により、長年内部に粉末のようなものが蓄積することがありますが、その場合は、弊社にて分解掃除するしかありません。
Q 内部への注油に関して(通常のハンドル式ドリルチャックに関して)
A 内部にはグリスが適量詰めてありますので、通常の注油などは不要です。
しかし長い間ご使用頂いてグリスが劣化したり、洗い油でチャック本体を洗浄したことによりグリスが流れ出てしまって潤滑不足気味になった場合は、弊社にて、グリスアップいたします。
なお、ユーザー様のもとで簡単に注油する方法としましては、ツメとは反対側のジャコブス側端面とカバーのすき間から、若干粘度のあるマシン油を流し込んで頂くことにより、注油が可能です。
Q チャックの外し方について
A チャックを交換する場合など、チャックをアーバーやスピンドルから外す方法ですが、方式により異なります。
まず言えるのは、決して簡単ではないということです。慎重に行わないと、機械自体を痛めることになりかねませんし、タガネやクサビなどで外すこと指南する方もありますが、これも慎重に行わないと、非常に危険です。
・ナット付アーバー、ナット付ボール盤スピンドルの場合は、ナットを回すことにより外すことが可能です。しかし、チャックは固く入っていることがほとんどで、また、そうでなくてはいけないので、ナットも簡単にはまわりません。従って、スピンドルロックができるマシンなどは良いですが、そうでないものは、アーバーやチャック自体を保持して回すなどの方法が必要です。
・ナットなしの通常のアーバーの場合、ハンドル式ドリルチャックなら内部が貫通しているので、ツメの方からバーを差し込んで、アーバーの先端を叩くことにより外すことが可能です。キーレスチャックの場合は内部が貫通していないので、この方法がとれません。クサビなどにより外すことは可能です。→チャックドリフトとして商品化しました!
・ネジ取付チャックの場合は、チャックを回してスピンドルネジを外せば良いのですが、固く入っているので、ゆるめるのがたいへんです。また、スピンドル自体も保持することを考えないと、空転してしまい、ゆるめることはできない可能性が非常に高いです。従って、何らかの方法でスピンドルを保持し、チャックのハンドル穴などを利用してゆるめるしかありません。
・ナット無しスピンドルのボール盤の場合は、安全にするっと外すことは困難です。
通常のハンドル式ドリルチャックの場合は「ギヤー抜き(プーリ抜き)」を使って外すことが可能です。ただし、ギヤー抜きのねじをチャック本体に差し込んでスピンドル先端を押す必要があるので、この方法は、事実上13mmチャック以上でないと難しいと思います。
分解して、スピンドルのみ抜き出せば、上記のように、ツメの方から棒を差し込んで、スピンドル後端を叩くことにより外すことは可能ですが、キーレスチャックなどは安全に取りはずすのは至難の業です。安全に外す方法は無いと言った方が良いくらいですが、強いて言えば、最終的にはクサビで外すことは可能です。ただし、スピンドルに傷がつく可能性があります。余談ですが、チャックを選択する場合は、このような外すときのことも考慮に入れると良いかもしれません。
繰り返しとなりますが、無理矢理外して機械を傷めてはどうしようもありません。
その意味では、アーバーを介して取り付ける方式の場合は、アーバーも消耗品と考え、チャックとともに交換するのも一法です。熱処理を施していないアーバーの場合は、再利用しないことを強くお勧めします。アーバーを介さず機械に直に取り付けるボール盤などの場合は、たとえば、長く精度高く使用でき、交換の必要のないチャック(たとえばAA級など)を装着して、交換は視野に入れないということが必要かもしれません。
また、弊社では専用工具を使って外すことも行っております。
Q 故障してしまったので修理調整して欲しい。
A 実費で速やかに修理調整致しますのでお問い合わせ下さい。
13MG以上のドリルチャックは、ツメ修理も可能です。
なお、ユーザー様のもとでの分解はおやめください。
Q ドリルチャックのハンドルや、ナット付ドリルチャックアーバーのナットを紛失してしまったので単品で販売して欲しい。
A 単品での販売を致しております。
ハンドルやナットは長期のご使用により摩耗した場合も単品販売致しておりますので、引き続きチャックやアーバー本体とともにご愛用下さい。
特にチャックハンドルは突出しピン部やギヤ部が摩耗しやすいため、長年使用したハンドルはチャック取付時のガタが大きくなる恐れがあります。その場合も新しいハンドルを使用することによりリフレッシュできます。
Q 商品の図面をDXFファイルで送付して欲しい
A 図面をCADのDXFファイルで送付して欲しいというご要望は非常に多いですが、現在のところ、弊社規定により、出図はお受けできません。
サイト掲載以上の寸法をお知りになりたい方は、お問い合わせ下さい。
Q ドリルチャックのMGとはどういう意味か(通常のハンドル式ドリルチャックに関して)
A マシングレード(Machine Grade)という意味です。
Q アーバのサイズはどのように呼ぶのが正しいか
A JTサイズから先に呼ぶのが正しいです。
例 JT0×M.T1 JT0×(φ16×60)
Q JT6とJT2½の違いは
A 全く同じものです。サイズとしては、2番と3番の中間ですが、歴史的に、ちょうど良いサイズの6番が後から制定され、追加されたことにより、このような奇妙な番号がついた、と推測されます。実際、戦前の工具カタログには6番サイズのチャックは掲載されていません。
Q JT2SとJT2について
A JT2のショートタイプがJT2Sです。地球印製品では、ドリルチャックはJT2Sですが、アーバは一部海外製品のJT2使用のものも把握できるように、ショートタイプではなく、JT2となっています。従って、地球印アーバは、JT2・2Sを問わず、どちらのタイプのチャックにも取付が可能です。
地球印ドリルチャック : JT2S
ドリルチャックアーバ : JT2 (2のチャック2Sのチャック双方に使用可能)
その意味では、地球印製品を選択する限りはご心配はご無用です。なぜなら、地球印のJT2Sチャックには、他社の通常のJT2アーバーも着けられますし、地球印アーバーは地球印のJT2S規格のものはもとより、海外などのJT2規格のチャックにも取り付けられるからです。
なぜこのような2Sというような規格があるのか、ですが、推測するに、JT2では長く、テーパ把握力から勘案するにもう少し短くても差し支えない、ということで、ショートタイプが制定された、と思われます。